第8番 里宮山 無量光寺
(浄土宗)
聖観世音菩薩

「徳本上人大名号塔の寺」

 第8番無量光寺は文政12年(1829)徳本上人によって開山された。徳本上人は紀州日高郡に生まれ、27歳で得度をうけ徳本の名をもらって、以来念仏行脚行者として苦行を重ね全国をまわった人である。貧富を問わず授戒を施し、日本では役の行者と2人しかいない「大行者」と称された人物である。無量光寺はその徳本上人の修行場として開山された。名君と呼ばれた10代藩主治宝の父重倫が徳本上人の教えを受けて自らを悔い改めたことで、治宝が上人に深く帰依したことにより建てられた。
 境内には本堂の他に徳本上人の筆による「南無阿弥陀仏」の大名号塔が、新築された庫裏のそばに建っている。徳本上人開山の寺として上人を永遠に顕彰するためのものである。上人の名号塔は、県内149ヶ所を数える他、東京なども含め千基を超える石碑を残している。上人の書は独特のものであり、静かな境内の中でもひときわ目を引く。また、本堂前の首大仏も大変有名であり、学業成就や首から上の病気の治癒のための参詣者が多い。
 本堂は明治19年焼失したため、現在は那賀郡打田町にあった傳法院(現在は廃寺)から移築されたものである。

 

 


(御本尊) 阿弥陀如来
(開創) 徳本上人の開山。
文政12年(1829)本辯大和上が開基。
(住職) 月岡 慶道
(所在地) 和歌山県和歌山市吹上5-1-35
(電話) 073-423-5738