第1番 鶴林山 高松寺
(曹洞宗)
聖観世音菩薩

「市の指定文化財『宝鏡塔』の寺」

 第1番高松寺は慶長17年(1612)祥屋玄禎(しょうおくげんてい)大和尚により開基された。かつて寺は和歌山城二の丸御殿内の長福寺であったが、江戸時代中頃に現在地に移転され、高松寺となった。
 寺の入口には高松寺駐車場の看板があり、その奥正面に真新しい本堂がある。本堂は平成6年新築されたもので、旧建物が300年以上経ており、老朽化が甚だしかった様である。境内正面向かって左側には石造の宝鏡塔があり、和歌山市指定文化財になっている。これはかつての高松寺の弟子に智教尼という尼僧がおり、十代藩主治宝公の別邸「養翠園」に長く出仕していたが、職を辞した後全国を勧進行脚し、再び高松寺にもどり、天下泰平のために建てたものである。
 また境内入口の左側には、稲荷社が建てられている。これは民話に「高松の投げ頭巾」というのがあり、江戸時代通行人に赤頭巾を投げていたずらする牝狐がおり、ついに殿様の行列に近づき殺されるのだが、後に明治の末になって女に化けて市内電車を止める狐が出没し、運転手や車掌さんがこの狐を祀り、供養するためにつくられた。
 御本尊の頭上には鏡天井があり(4m×5m)、龍の絵がかかれており天空つかさどる神としてまつられている。境内も整備され、美しい本堂の当寺は大変落ち着いた禅宗らしい雰囲気である。




(御本尊) 南無釈迦牟尼仏
(開創) 慶長17年(1612)祥屋玄禎大和尚開基。
(住職) 岡本 暢孔
(所在地) 和歌山県和歌山市東高松1-1-34
(電話) 073-423-1532