第二十三番 金泉山慈昌院 長慶寺
(真言宗泉涌派)
如意輪観世音菩薩

 

 長慶寺は、泉南市を一望できる小高い丘に位し、そのふもとにたどり着くと、百段の石段と山門が目にうつる。境内に、西国三十三ヶ所、坂東三十三ヶ所、秩父三十四ヶ所の各本尊石仏が数十の御堂に祭られており、この石段も各霊場百体仏にちなんで百段となっている。又、いにしえより、「厄除けの石段」と村人の口々に伝えられ、女性は三十三段目、男性は四十二段目を登った所で厄除けを念ずれば、御利益があるとされている。
 この石段を登っている間に、緑に心を洗われてお参りさせていただく気分が湧いてくる。途中の山門の仁王像を拝んでさらに登りつめると、広い境内の正面に本堂がある。本堂に続く石だたみの左側いっぱいに数百坪の石庭が広がり、本堂前には粋を凝らした香炉堂、左奥には開山堂(多宝塔)、大師堂などがある。
 この寺は聖武天皇の勅願寺として、行基菩薩が開創されたもので、菩薩ご自作の本尊・如意輪観音は秘仏となっており、六十年に一度しか開扉されない。当時は現在地より数百メートル東の一丘神社の地にあって、五重塔を始め七堂伽藍が法隆寺様式に配置され、隆盛を極めた。
 特に高野山の覚鑁上人が根来寺を建立されるや、その北の玄関に当ると寺として繁栄したが織田信長の根来攻めによって一山焼失し、観音堂だけが焼け残ったのである。慶長年間、豊臣秀頼がこの観音堂を現在地に移し、再興されたので年号を逆にとって長慶寺と改めたという。以来、岸和田城主岡部公の歴代祈願所としてまた、泉州観音信仰の霊刹として人々の信仰を集めた。
 ここにお参りされる方は、文人墨客として名高い林羅山ほか著名士が遊び、一文をものした由緒ある庫裡にご案内頂き、淡路島の遠望を楽しまれると共に、見事な襖絵を鑑賞させて頂くことを是非おすすめしたい。

■最寄りの交通機関
 ○阪和線・和泉砂川駅より徒歩15分
 ○南海樽井駅よりバス和泉砂川駅下車徒歩15分
※和泉西国第二十八番
※南海沿線七福神霊場第五番(福禄寿)


(御本尊) 如意輪観世音菩薩
(開創) 行基菩薩開基。
(所在地) 大阪府泉南市信達市場815
(電話)

0724-83-2692