日本国家の発祥の舞台、「山の辺の道」中間地点に位置する釜の口長岳寺は天長元年(824)淳和天皇の勅願により、弘法大師が大和(おおやまと)大明神の神宮寺として創建された古刹である。
爾来、千百有余年、栄枯盛衰をかさね、最も栄えた時には境内九万四千坪、塔中四十八ヶ坊、僧兵三百を擁し、興福寺大乗院傘下の一大法城であったが、度々の戦乱に巻き込まれ、今は往時の面影を残すのみとなった。
小高い丘の上にある山門をくぐると広い境内全体が見渡せる。両脇に平戸ツツジの生け垣が続く玉砂利の参道を200メートルほど行くと我が国最古の優美な鐘楼門(国・重文/平安時代)につく。門をくぐると、浄土式庭園が視野いっぱいに広がる。その池に姿を写す本堂には本尊の阿弥陀三尊(国・重文/藤原時代)、多聞天及び増長天(ともに国・重文)など奉られている。
本堂東側に当山開祖の弘法大師を奉る大師堂(県指定文化財)があり、釜の口大師として、毎月21日には善男善女達が参拝される。
また庫裡(国・重文)の持仏堂(国・重文)には普賢延命菩薩が奉られ、延命長寿の信仰をあつめている。
毎年、秋には本堂にて狩野楽筆の大地獄絵が壁面いっぱいに掛けられ、住職の地獄絵絵解き説法がおこなわれる。
一万二千坪の静寂な境内には四季折々の花が咲き、いにしえの趣きと心のやすらぎを求め、多くの参拝者が訪れる花と文化財の寺である。
「釜の口 こがれてみうる もみじかな
なべてのよには あらじとおもう」沙石集
■ 関西花の寺第十九番霊場
■ 大和十三佛第四番霊場
■ 年中行事
1月10日 |
節会 |
4月21日 |
釜ノ口れんぞ
(弘法大師正御影供)柴燈大護摩 |
10月23日〜11月30日 |
仏画展 大地獄絵開帳 |
12月31日 |
除夜の鐘 |
■最寄りの交通機関
奈良交通バス天理〜桜井線長岳寺前下車、 JR柳本町駅下車、徒歩20分、タクシー5分
※(通称)釜の口大師