国道24号線が葛城川にかかる御所橋の交差点を葛城川の流れに沿ってその堤防上の道を北に進む。徒歩の人は近鉄御所駅から、あるいはJR御所駅からでも真直ぐ東へ進んでこの葛城川の堤防まで辿りつくのが一番分かり易い。この堤防は桜の木がいっぱい植えられており桜の名所でもある。市役所も消防署もこの堤防の上にあり、ここに立ってみると西の空をさえぎる金剛葛城の山なみが美しい。
消防署の横から西へ堤防を降りると古い町並みに入る。少し入り込んでいるから通りすがりの人に聞けばこの町の人はみんな親切に教えてくれる。町家の間に山門があってすぐ目の前に本堂がせまる。中に入ると広くもない境内の割に本堂の中はゆったりとして広い。
寺伝によれば、西国三十三霊場を創始した長谷寺の徳道上人が夢のお告げで建立されたという。ご本尊の十一面観音が錫杖を持っておられて、俗にいう長谷寺型の観音になっているのもそれ故であろうか。
葛城川の再三の洪水に遭って流失をくり返しながらも、地元の人々の観音信仰の火は消えなかった。現在の本堂は天正年間に再建されたものである。
観光寺院しか知らぬ現在の都会人にとっては、余り広くもない境内に立って懸命に祈りを捧げる地元の人々の姿に深い感銘を覚えるであろう。
本堂前境内の一すみにマリア灯篭と呼ばれている石仏がある。隠れ切支丹の人々がこの観音様に救われたお礼のものであろうか。
■最寄りの交通機関
近鉄御所駅下車徒歩9分、JR御所駅下車徒歩7分
※御所の観音さん