九番の生蓮寺から、国道24号線をはさんで800メートル東南にある。この24号線は京都奈良方面から和歌山に通ずる唯一の幹線道路として交通量が非常に多く、特に五条市内は車の混雑する所であるが、一歩国道をはずれて街の中に入ると、江戸時代の面影を残す町家の静かな町並みがある。西方寺のある五条新町もその一つである。表通りとは全く違った雰囲気を味わいながら歩いて行くと新しい山門と駐車場がある。大寺とは言えないまでも、門を入ると無縁仏の石塔が整然と並べられ、どこからともなく香華の匂いが漂ってくる。
やすっぽい線香のやたらとくすべられて、煙ばかりが立ちこめている観光寺院とは違った信仰の寺という感じがする。
正面の本堂の柱に「厄除弘法大師」という御額が掲げられている。弘法大師修行のみぎり、梵天の加護を招じられた所として、庶民の信仰厚く、男女の厄年における厄除け祈願はもとより、平素の七難即滅の祈願所となっているが、自己の悪業を懺悔し、お大師様と語らい合う恰好の寺である。
当時の住職は大師直伝の鍼灸の術を心得ておられ、それを施すことによって、大師の済世利民の道を実践しておられる。
時間の余裕のある方は一度お願いをしてみられてはどうであろう。
なお、本堂左手前には「病封じの不動尊」が祀られている。いくら医学が進んでも人間の世界から病気のなくなることはない。
大切な事は、病気をなおすという事より先に、病気にならない事をこのお不動様にお願いされる事をおすすめする。
■最寄りの交通機関
JR和歌山線大和二見駅下車東へ徒歩7分
※病封じの寺