JR和歌山線の大和二見の駅をおりると、西北500メートルほどの所にこんもりとした森があって、その下に大きな寺の屋根が見える。これがよらせ寄足山生蓮寺である。
これを「よらせ」と読める人はまずあるまい。平安の昔、お大師様が高野山をお開きになる時、この寺に足を留めて寄宿された故事による。その時お大師様は一尺八寸のお地蔵さんを彫られ、ご本尊の胎内に納められたという。
ご本尊の地蔵菩薩は、嵯峨天皇がその皇后ご安産の為参議、小野篁に命じて祀られたと伝えられる。皇后は相当つわりがひどかったのであろうか、とてもお苦しみになったので、みかねられた天皇はお地蔵様に安産祈願をこめられ、無事皇子様誕生をみられた天皇が報恩謝徳の為に建立されたのがこの寺である。
その当時のご本尊は兵大火の為に焼失し、今、目前に仰ぐお地蔵さんは後世のものである。
とは申せ、3メートル半ある桧のよせ木作りの彩色された大きなお姿が、1メートル半の台座にお座りになって、お参りする私どもに慈悲のまなざしをなげかけておられるのを拝すると、なぜかこのお地蔵様にすがりつきたい気分になるから不思議なものである。
病気平癒や安産祈願の為、今なお訪れる人が絶えないでいる。また、雨晴祈祷の請願所でもある。
■最寄りの交通機関
JR和歌山線大和二見駅下車西へ徒歩5分
大和新四国六十三番
※ よらせの地蔵さん