菩薩
サンスクリット語で「悟りを求めるもの」という意味の菩提薩たを略して、菩薩。
菩薩は仏陀となることを目標に、修行に励んでいると共に、仏の慈悲行を実践衆生を救おうとします。
菩薩の修行は、施しを与える、戒律を守る、何事にも耐える、努力する、真理を見極める為智慧を磨く、仏事の本質を見抜くの6つです。これを六波羅蜜とよびます。
『六観音』(六道を教化して人々を救済する)
—-天台系:
聖観音・千手観音・馬頭観音・十一面観音・如意輪観音・不空羂索観音
—-真言系:
聖観音・千手観音・馬頭観音・十一面観音・如意輪観音・准胝観音
聖観音・千手観音・馬頭観音・十一面観音・如意輪観音・不空羂索観音・准胝観音をまとめて『七観音』と呼びます。
11の顔を持つ救済者 |
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十一面観音はヒンドゥー教の十一荒神が強化されたものと考えられている。変化観音の中では最も早くからインドで成立しました。頭上に十一の顔があり全ての方向を見つめて人々を救済します。 普通、前3面は菩薩面(穏やかな顔、慈悲を現す)、左3面は分怒面(悪人を戒める)、右3面は狗牙上出面(優しい顔、人々を励ます)、後一面は大笑面(大笑いしている顔、悪行を笑い飛ばす)」、頂上は仏面(仏道に入った人に教えを説く)。各面は阿弥陀仏の宝冠を頂いている。六観音の一人です。 ・梵名:エーカーダムシャカ ・真言:オン ロケイジバラ キリク ソワカ |
尊釈の次代の仏 |
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釈迦の後継者。弥勒は釈迦在世の頃、南天竺のバラモンの名家に生まれた実在の人物とされる。弥勒は現在、兜率天で菩薩として修行中であり、釈迦入滅後56億7千万年(太陽系の余命とほぼ一致)後に如来となり衆生を救うとされている菩薩。弥勒菩薩はインドではマイトレーヤとよばれ、インド宗教と兄弟関係にあるゾロアスター教ではミトラ神に対応します。しかし、ミトラ信仰はゾロアスター教よりも古いもので、契約の神・天空神・光明神・冥界の裁判官でもありました。 ・梵名:マイトレーヤー ・真言:オン マイタレイヤ ソワカ |
もれなく人を救う仏 |
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不空とは、願いが空しくないという意味で、羂索とは、戦いや狩猟に用いる環のついた投網。菩薩の網でもれなく苦悩するすべての人々を救いとります。六観音の一人です。 ・梵名:アモーガパーシャ ・真言:オン アボキャ ビジャシャ ウン ハッタ |
無限の慈悲者 |
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千手観音は千臂千眼観世音、千臂観音、千光観音、千眼千首千舌千足千臂観自在ともいい、正しくは千手千眼観世音菩薩と呼びます。ちなみに千とは無量円満を意味する。全ての生き物と人々を救う事を象徴し「大悲観音」とよばれる。曼陀羅で蓮華部の中で最高の威徳を有する事から「蓮華王」とも呼ばれる。実際、千本の手がある仏像はまれで、だいたいは42本限られ、各手には持物を持つことになっています。また、十一面観音のように頭上に十一の顔があります。眷属として二十八部衆がつきます。六観音の一人です。 二十八部衆: 密迹金剛力士・摩醯首羅王・那羅延堅固王・金毘羅王・満善車王・摩和羅王・畢婆迦羅王・五部浄居天・帝釈天・大弁功徳天・東方天・神母天・毘楼勒叉天王・毘楼博叉天王・毘沙門天王・金色孔雀王・婆藪仙人・散脂大将・難陀竜王・沙羯羅・阿修羅王・乾闥婆王・迦楼羅王・緊那羅王・摩ご羅迦王・大梵天王・金大王・満仙王 ・梵名:サハスラブジャ ・真言:オン バサラ ダルマ キリク |
諸悪粉砕怒りの観音 |
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馬頭観音の頭上に馬の頭があります。普通は馬頭観音と呼ばれますが、梵名をそのまま訳して、大持力明王または、馬頭明王とも呼ばれます。忿怒の形相で表されるため、この形相で様々な苦悩や災難などの諸悪を粉砕します。また、馬頭観音は家畜や荷物を運ぶ馬の守り神として路傍の石仏にも多く見られます。六観音の一人です。 ・梵名:ハヤグリーヴァ ・真言:オン アミリト ドハンバ ウン ハッタ |
願いをかなえる仏 |
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変化観音の一つ。梵名のチンタは『願望』を意味し、マニは『宝珠』を指し。チャクラは『円』ので如意宝珠法輪を意味する。これを略して如意輪。六本の手で右手は頬に当て、右膝を立て、両足裏を合わせる輪王座という姿勢をとっています。人々を苦悩から救い、その願いをかなえてくれると言う。如意宝珠は思うがままに珍宝だし、苦しみを取り除くと言われる。密教法具は煩悩を打ち砕き、法輪を持つことで役割を明らかにしています。六観音の一人です。 ・梵名:チンターマニチャクラ ・真言:オン バラダ ハンドメイ ウン |
智慧の象徴 |
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あの「三人寄れば文殊の知恵」の文殊さまで、智を司る菩薩です。 文殊菩薩は、舎衛国のバラモンの子で釈尊滅後の実在の人物と云われる。 釈迦如来の代表的な眷属で、普賢菩薩とともに釈迦如来の脇侍菩薩です。 文殊菩薩の髪型は一髻、五髻、六髻、八髻と数種類の髪型があります。それぞれに一字文殊、五字文殊、六字文殊、八字文殊と呼ばれます。ちなみに一字文殊は『増益』、五字文殊は『敬愛』、六字文殊は『調伏』、八字文殊は『息災』の修法の本尊として迎えられます。また、「八大童子」という眷族がつきます。 八大童子: 光網童子・不思議慧童子・無垢光童子・髻設尼童子・烏波髻設尼童子・救護慧童子・地慧幢童子・請召童子 ・梵名:マンジュシュリー ・真言:オン アラハシャ ノウ |
行の菩薩 |
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サマンタとは普くを意味し、バドラとは賢いを意味する。 普賢とは、『普遍の教え』とういう意味で十方世界に普く現れ方便を持って人々を救う観音です。 釈迦如来の眷属で、文殊菩薩とともに釈迦如来の脇侍です。 像容は色々な種類があるが、霊獣である白い像に乗り、頭に五智宝冠をかぶって、合掌しているのが一般的です。 ・梵名:サマンタバドラ ・真言:オン サンマヤ ザトバン |
求聞持法の本尊 |
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虚空のような無量の功徳を蔵するという意味で、人々の様々な願いをかなえてくれる菩薩。頭には五仏のついた宝冠をつけています。右手に剣を持ち、左手に宝珠を持つのが一般的です。同じ智慧の仏である文殊は物事を判断する判断力などの知恵で、学問の知恵や記憶力等は虚空蔵菩薩にあります。また、虚空蔵菩薩の知恵は芸術や技術にも及ぶとして、職人や芸術家の守り本尊でもあります。 ・梵名:アーカーシャグルバ ・真言:オン バサラ アラタンノウ ソワカ |
無仏時代の救世主 |
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クシティは地を意味し、ガルバは胎を意味するという事で、大地を包蔵するという意味。 地蔵菩薩は釈迦入滅後、56億7千万年後に弥勒菩薩が現れるまでの間の無仏世界の六道輪廻する人々を救うという菩薩。 六道は、地獄道・餓鬼道・畜生道・修羅道・人間道・天道の六つの世界から成り立っています。はじめの三つを三悪道、あとの三つを三善道と呼びます。この世で悪行を繰り返せば畜生や地獄に生まれ変わり、善い事を積み重ねれば天に生まれ変わります。これを六道輪廻と呼ばれます。そして、六地蔵とよく聞きますが、地蔵菩薩は、娑婆世界を守ることが使命ですので、さきほどの六道の入口に立ち人々を教化すると考えられ、一つの世界に一体ずつ地蔵を配した六地蔵が作られました。 六地蔵: 大定智悲地蔵・大徳清淨地蔵・大光明地蔵・清淨無垢地蔵・大清淨地蔵・大堅固地蔵 ・梵名:クシティガルバ ・真言:オン カカカ ビサンマエイ ソワカ |
阿弥陀の補佐役 |
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大勢至菩薩、得大勢至菩薩とも言う。「偉大な威力を得た者」という意味のサンスクリット語の名前をもちます。人々の無知を救う仏の知恵を現します。単独像として造られることはほとんど無く、阿弥陀如来の脇侍として聖観音菩薩ともに一対をなします。頭には小さな水がめをつけています。 ・梵名:マハースターマプラープタ ・真言:オン ザン ザンサク ソワカ |